イタイイタイ病から考える食の安全性
イタイイタイ病という病名にもあるように、発病した患者が「イタイ、イタイ」と泣き叫ぶ程激痛があらわれます。その原因は骨が脆くなって少し体を動かしただけでも体中の骨が折れてしまうのです。このような症状の病気は世界的に見ても例がなく、被害者のほぼ全員がある地域の農家に集中していた為イタイイタイ病の発見当初は患者を含むその地域の全員が差別を受けていたといわれています。なぜ特定地域の農家に被害者が多く出たのかというと、その農家の人々は自分でお米を生産してそのお米を食べていました。そのお米にはイタイイタイ病の原因とされているカドミウムが多量に含まれていた為被害者が集中したのです。ではカドミウムが人体にどのような影響を及ぼすのかというと、今でこそよく知られている骨粗鬆症によく似た症状があらわれます。これは人体に取り込まれたカドミウムが骨の主成分であるカルシウムなどを体外に排出してしまう働きを持っているからなのです。
なぜカドミウムを含んだ米になってしまったのか?これはイタイイタイ病の裁判の過程でその農村の近くを流れている川の上流に閃亜鉛鉱という鉱物が取れる鉱山がありその亜鉛鉱石に1%程度のカドミウムが含まれていました。そもそも天然の閃亜鉛鉱は多少の含有量の違いはあってもカドミウムを含んでいますが、その鉱山では鉱排水を無処理のままその川に排出していて下流に位置するその農村ではその川の水を農業用水として使っていたのです。カドミウムを多量に含んだ農作物を食べ続けた農民たちの体にはカドミウムが蓄積しイタイイタイ病が発症してしまったのです。人体に体重1キロあたりで約0,7mg程含まれていると言われるカドミウムですが、イタイイタイ病の被害者の体内から検出された量は通常の数十倍から数千倍とも言われています。また原因がはっきり特定できなかった段階では、ビタミンDの不足を疑う声もありました。
イタイイタイ病の原因となったカドミウムは中性から酸性で溶け出しやすく、日本の国内の土壌はその多くがそれにあたることから食物はカドミウムによる汚染を受けやすいと言えるのです。ただ、お米をはじめとする食物には食品衛生法上で含有基準値が設定されていて、基準値以上のカドミウムを含んだ農作物は販売することが出来ないようになっています。口に入るものなので特に気をつけたいところではありますがその不安を和らげてるれるのがオーガニックと呼ばれる有機栽培食物ではないでしょうか?しかしながら有機栽培だからと言って一概に安心もできないのが現状で、有機JAS規格では有機肥料のほかにも様々な無機肥料も認められているのです。その中にイタイイタイ病の原因にもなった亜鉛も含まれています。しかしながら微量要素ですのであまり神経質にならなくても良いかもしれません。気になる方は農林水産省の有機食品の検査認証制度についてのホームページを見ておくのも参考になると思います。